六韜 二巡目 『 目指すは簒奪併呑』 第32回 「武韜13、三疑篇2、敵国中枢の離間工作」


六韜の二巡目、始めました。
まずは現在は二つ目の武韜に入っております。

『六韜』二巡目
32回
武韜13 三疑篇2


武韜の最後の篇であります、
三疑篇に入っております。

前回、武王が太公望にした質問、
敵国の強大な軍を力攻めできるかどうか分からない。
敵国中枢の団結を崩せるかどうかわからない。
敵の王と民衆のつながりを断ち切るかどうか分からない。
まとめて三疑。
これをどうするかという内容で。

これに対する太公望の答えは、
二つの方針、
最初は謀略ではなくとにかく買収。
そして、
敵の強みを利用して敵の強みをぶっ壊す。

三疑篇1 抜粋2・・・
・・・・・・
(きょう)を攻(せ)むるには強を以(もっ)てし、
(しん)を離(はな)すには親を以てし、
(しゅう)を散(さん)ずるには衆を以てす。
・・・・・・
強大な敵を攻めるには敵の強大さを逆用する。
敵中枢の要人のつながりをバラバラにしたいならその親密さを逆用し、
敵国の民衆が敵国の王を見放すようにするには敵の王を慕う民衆を利用する。

今回は三疑の二つ目、
敵国中枢の結束を崩す方法。
これは金を渡すところから謀略の段階に入ってのこと。

三疑篇2 抜粋1 ・・・
・・・・・・
(およ)そ謀(ぼう)の道は、
周密(しゅうみつ)を宝(たから)となす。
・・・・・・
だいたい謀略の世界というのは、
全てを秘密裡に進めることを最も重要なこととする。

謀略は敵に気付かれないように仕掛ける。
まあ当然と言えば当然のこと。
しかし、
言うほど簡単でないのも確かで。
もしも途中で謀略が露見、
コチラの最終目的である敵国打倒なんてことがバレれば、
孫子三十六計のように反間(ダブルスパイ)を使ったカウンターを食らう可能性もあれば、
その目的露見が口実となってコチラを攻撃対象と認定して軍事攻撃できることになる。

だからこそ、
文啓篇1にあったように、
敵に気付かれないような自然な形での工作には、
構造や流れを理解・把握している必要があったりで。

そして、
敵国中枢の分裂助長という謀略に当たっては、
三疑篇2 抜粋2 ・・・
・・・・・・
これを設(もう)くるに事を以(もっ)てし、
これを玩(もてあそ)ぶに利を以てすれば、
争心(そうしん)必ず起こる。
・・・・・・
謀略を敵に仕掛ける時には明確な目的をもった事業にし、
敵を翻弄しようとすするに利益でもってチラつかせれば、
敵国中枢に仲間同士の争いの心が巻き起こる。

敵国中枢に近い敵国臣下の買収については、
文伐十二節でも語られておりますが、
そのうち王に近く特別に目をかけられている寵臣への買収工作については、
さらに寵臣同士、王と寵臣の分断を図るなら・・・。

三疑篇2 抜粋3 ・・・
・・・・・・
その親(しん)を離(はな)さんと欲(ほっ)すれば、
その愛する所とその寵人(ちょうじん)とに因(よ)りて、
これに欲する所を与(あた)え、
これに利する所を示し、
(よ)って以(もっ)てこれを疎(うと)んじて、
(こころざし)を得しむる無(な)かれ。
(かれ)、利を貪(むさぼ)りて甚(はなは)だ喜べば、
(ぎ)を遺(のこ)して乃(すなわ)ち止(や)む。
・・・・・・
敵国中枢の団結を離間したいなら、
敵の王が大事にしている事や特別に目をかけている人物を狙い、
その大事にしている事や人物を経由して敵の王が望んでいるものを与える。
そこから急に経路で物を与えることをやめて、
敵の王が目的を達成する直前に頓挫するようにする。
それまで大事にしていたことや特別に目をかけていた人物が持ってきた利益に喜んでいればいるほど、
直前に頓挫したことによってそれらの事や人物に対しての疑いだけが残り、
内部は反目だけが残って終わるだけである。

忠誠心に厚く有能な臣下を敵国の中枢から外し、
敵の王への忠誠まで揺らがせる手法として、
文伐十二節のうち第五節が最も目立つ手法で。
上の手法はその第五節において、
コチラの工作によって敵国の王に気に入らせて新たに出世させた臣下を経由して、
敵国の王にいろいろと望む者を与えることであり、
それだけでなく、
コチラが買収した臣下全てを経由して使えるわけで。

ことに大事にしている所、
敵の王の成功哲学に沿うように与えた利益で野望が頓挫したというのなら、
敵の王としては信じていたことが信じられなくなり、
さらには目をかけていた臣下たちもその能力から忠誠心まで疑いしか残らない。

結束力が強かっただけに、
そこにあった絶大な信頼が一転して信じられないものとなる。
結束力が結束力を崩してしまう・・・。

次回は三疑の三つ目、
敵の王と民衆のつながりの切り離しのお話。


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