ニッコロさんの君主論 第4回 第三章 その2 「領土拡大最大の壁の壊し方はローマ人に学べ」 どう生かそうとしてもオレの人生で生かせそうにないのがもうキツイ・・・






君主権に二分類アリ
・世襲的君主権
・新しい君主権

領土の獲得過程に四つアリ
・他国の軍によるもの
・自国の軍によるもの
・幸運によるもの
・実力によるもの

新たに獲得した地域に事情アリ
・君主の統治に慣れてる場合
・自由な国政に親しんでる場合


世襲的君主が
領土拡大で新地域を得た場合
新地域では新しい君主権に分類されま~す

領土拡大中の国は
複合的君主権になりま~す

世襲的君主権の維持は楽だけど
新しい君主権の維持は大変

だから
複合的君主権の維持はタイヘン


以上のことをしっかり踏まえ
目指せイタリア統一!


第三章 複合的君主権 その2

軍事侵攻して
領土を占領して
ハイそこで終了
・・・とならないのが
ニッコロさんのお話で

新たに獲得した領土を維持する
新しい君主権を維持する
支配者となる

そこまでやって
ようやく自国にしたと
言えるわけで・・・

イタリア統一というのは
そこまでやらないといけないわけで・・・

侵略
制圧
併合・・・
この過程の難易度によって
その後の領土拡大のペースも変わってくる・・・

ニッコロさんが言うに
領土拡大最大の壁とは何かと言えば
それは
強大な敵国の軍隊でもなければ
地理でもなく

侵攻する土地の
言語・習慣・制度・風俗
概して無形なもの・・・

コレが侵攻する側と一緒かどうかで
領土拡大のハードルの高さは
大きく変わるんだそうで


ケース1
旧来の領土と新たに獲得した領土が同一地域にあり、
言語、文化、習慣が一緒
そして
その地域の住民は君主の統治に慣れている

この条件が全部揃ってるなら
併合からの維持は
とっても簡単だと
ニッコロさんは言うわけで

やるべきことは

その地域をかつて支配していた君主の血統を絶やして
法制税制を変えない

ただこれだけで
旧来の領土と新領土は一体となりま~す
だそうで

君主の血統を絶つ
これだけでもうキツイ気がするわ・・・

この簡単な(?)方法で
領土拡大に成功してきたのが
当時のフランスだったと
ニッコロさんは言うわけで
いちおう仏国を評価はしてるんですわ・・・

一方・・・・・・
ケース2

言語、習慣、制度、風俗
どれも旧来の領土と違う
そんな地域を獲得した場合

維持するハードルは
一気に上がるんだそうで

「多くの困難が伴い、
 維持するには非常な幸運と努力が必要となる」








ニッコロさんは
そんな土地を維持し支配するための
最も有効な手段を挙げます

新君主自らが新領土に引っ越すこと

言語も習慣も制度も違う
そんな地域に王様と首都機能を移す・・・
・・・正気か?

これを実際にやった例として
ニッコロさんはトルコを挙げます
当時のトルコはマジな話
欧州の総力を軽く超える世界有数の強国だったそうで

軽々に真似れるようなもんとは
違う気がしますが
やらなきゃならん時があると
ニッコロさんは言うわけで・・・

この段階で
イタリア半島の中に
言語と習慣と制度が違う地域が
あったのか・・・
それとも
イタリア統一後も
半島の外に拡大することをも
前提にしていたのか・・・
そこまで俺に分かるわけもないッス!


新領土に首都機能を移す
この利点の一つに
混乱の早期解決
を挙げるニッコロさん

新領土が遠いと
そこでの混乱は
大きくなってようやく君主の耳に入るので
だいたいの場合は手遅れに・・・

それに部下に任せて
新領土そのものを乗っ取られることもなくなるだろうと・・・

旧来の領土を取られるリスクが発生すると
俺は思うけどね・・・

首都移転で何よりイイコトは何かと言えば
現地の臣民の信頼を得られることだと

「善良であろうとする人々は
 新君主に好意を抱くようになり、
 善良じゃない連中は
 新君主を恐れるようになるだろう」

さりげなく
善良な人などいないっていう前提が
語られてますが

好かれるよりも
恐れられよ
という君主論の原則が既にチラチラしてるわけです


次に有効な手段は・・・
新領土の重要拠点への
植民

この手段に次点がつくのは
ニッコロさんが
次の手段に挙げる軍隊駐留が
ものすごく下の下の下だという理由だからです

植民には金がかからない

新領土の現地住民への損失は
植民の生活に必要な分だけ・・・

新領土全体に比べればその損失は微々たるもの

損失を受けた人間が微々たるものなら
新君主への反感も微々たるものになる・・・

何よりも
植民に参加した旧来の領土の民は
新君主に元から忠実


ここでニッコロさんは
安全な人民弾圧の原則を提唱してくれます

「人間は寵愛されるか抹殺されるか
 そのどちらかでなくてはならない。

 人間は小さな危害には復讐できても、
 大きな危害には復讐できない。

 人に危害を与えるなら、
 復讐を恐れずに済む方法でなければならない」

弾圧する時は
復讐されないくらいに
大きな危害を与えなさい

これについては
別の章で具体例込みで
改めて語られます

サラッと言われるんで
残虐な文章だとは思わず
飛ばしそうでしたわ


そして
下の下の下な
最後にして最低の手段
新領土への軍隊の駐留

なぜ下かと言われれば
金がかかるから・・・
とにかく金がかかるから!

軍隊 = 金がかかる
というのは
孫子先生もそうでしたが
ニッコロさんの場合は
さらに深刻で・・・

当時のフィレンツェは
商業金融都市国家で
軍事力はもっぱら傭兵頼み
傭兵は
高給とりだわ
命はかけないわ
規律はないわ
まあ金がかかる金がかかる・・・

イタリア統一に向けて
言語・習慣・制度の違うところに
フィレンツェ式の傭兵主体の軍隊を
獲得した領土に置いたりしたら
いったいどんだけの金がかかることか・・・


傭兵なんかに頼るな!
とニッコロさんは
軍事の章で改めて叫びます

とにかく金のかかる軍隊を
言語・習慣・制度・風俗の違う新領土に駐留させたら
新領土から得られる利益の全てを
駐留軍に吸い取られてしまう

そして
利益が吸い取られる量が多いから
新領土の新臣民全員から怒りを買う
新臣民は新君主にダメージを与えることのできる敵となるだろう!

「駐留軍は無益、植民は有益」

ニッコロさんは
そう言うわけでして

これはニッコロさんが言い出したことではなく
彼が生まれる遥か以前に
これを実行した国があったそうで
彼はそれを自分で目にした経験と比べて
正しい語っているようで
その国はどこかというのは
後述されます


言語・習慣・制度・風俗
これらが違う領土を維持するには
とても大変であると

前回紹介した
フランス王ルイ12世が
イタリアにやってきてロクなことがなかったのは
そのあたりが原因だと・・・

・仏王はやってきたけどイタリアに移住はしなかった
・味方として参じたはずの近隣弱小国を保護せず
・あろうことか近隣の大国(ルイの場合はローマ教皇)の力を削ぐどころか強化してしまった(ロマーニャ侵攻)
・イタリアに自分と同じぐらいの強大な外国の君主が入り込むのを許した(スペイン王と一緒にナポリ王国を分割)

「自分の敵を強化する者は自ら亡ぶ!」

言語・習慣・制度・風俗が違う
そんな新領土の維持に必要なのは
ルイ12世の逆張りとも言えて・・・

君主は新領土に移住すべし

新領土の近隣の弱小国家は保護(支援)すべし

近隣にある強大な勢力の力は削ぐべし

何があろうと新領土とその近隣に強大な外国君主を入れるべからず


新君主の新領土への移住は
ちょっと現代では合わなさそうですが

残りの三つは
植民地戦争や覇権国家の外交方針と
モロ被りする気がします
つまり昔からあんまり変わってない・・・

特に四つ目の
「強大な外国勢力を入れるな」
ということについては
ニッコロさんはキツク注意するわけでして・・・

~~~~~~~~~~

フランス王ルイ12世は
ロマーニャ侵攻からの不評でイタリアから追い出され
ナポリを分割統治していたスペインにナポリから追い出されこともあって
この王様は再びイタリアに進軍します

今度はイタリアを主戦場にして
スペインとフランスが激突するということになりまして
戦いで勝利はするも大損害を受けて
またもイタリア半島から撤退するということをやったそうで

フィレンツェはその時の外交で悪手を打って孤立し
スペインの残存部隊にぶっ潰されてしまい
それがニッコロさんのフィレンツェ追放に繋がったそうで

ルイ12世再来伊の段階で
フランス憎しの小国群は積極的にスペインを招き寄せ
ローマ教皇に至っては
さらに神聖ローマ帝国を引き込んで
フランス本国をも包囲しにかかったんだそうで・・・

~~~~~~~~~~

戦場では勝っても
戦略的には負け確定という
典型例だったんだそうで・・・

「不満を持つ人々が野心や恐怖から外国勢力を引き入れることは常にある」

これが

「ある強力な勢力が侵攻してくれば、
 その地域の弱小国群は侵攻してきた国への怒りだけで
 別の外国勢力を引き入れて喜んで協力する」

そして
後から引き入れられた外国勢力の君主が
新領土の新君主となる・・・

パッと見
順番が大事って気がしますが

ニッコロさんが言うに
保護する弱小国群を強くしないことが大事
でも潰してはいけない
潰すべきはその地域で強大な国
そっちが大事なんだと強調します

それが出来て
ようやく君主は新領土の支配者となれる


言語・習慣・制度・風俗
これらが違うだけで
こんなに苦労する・・・
これが最大の障壁になるわけですが

この最大の障壁をいとも簡単に打ち破って
ひたすら領土を拡大し
支配権を確立しまくった国がある
ニッコロさんは言うわけでして

それが
共和政下の古代ローマ人
統一した範囲は地中海沿岸全部

彼等は上記の四条件のうちの三つを
忠実に守ったそうで

「ローマ人は新領土に植民を送り、
 周辺の弱小勢力と同盟を結びながらも彼等を増大させず、
 新領土周辺の強大な勢力の力を削ぎ、
 外国君主の影響力が領土に及ぶのを許さなかった」

ニッコロさんは
ローマ人の成功例として
マケドニア王国への侵攻を挙げており、

ローマはまずマケドニアに不満を持つ諸部族と同盟し
マケドニアを叩き、
マケドニアに影響力を持っていたシリアを退けるが
同盟した諸部族の領土拡張を許さず、
今度はシリアを叩くためにマケドニアと同盟を結ぶも
シリアを叩いた後もマケドニアの領土拡張を許さなかった・・・

シリアもマケドニアも
アレクサンダー大王とつながりのある軍事大国でしたが
ローマの外交戦略を前に滅亡まっしぐら・・・

同盟を結んでも
強くなるのは許さない

なんとも嫌な奴なローマですが
ニッコロさんは大絶賛しています

「ローマ人は賢明な支配者のなすべきことを行ったのだ」

外交姿勢の前提には
傷は小さいうちに縫え
の原則があるようで
どんな小さな兆候も見落とさないし楽観視もしない
ということがあったそうで
まるで老子に近い・・・

ニッコロさんが
イスラム経由で老子のことを死ってたかは
俺には分からんことです・・・


ローマ人の考えで
ニッコロさんが特筆しているのは

「彼等は戦争は不可避なことであること。
 先に延ばせば敵の利益になることを
 知っていた。
 ゆえにローマ人は災いの兆候を探知するとそれを放置せずに対策を施し、
 戦争を避けようとして事態を放置することはなかった」

この言葉には

ルイ12世再来伊時
仏軍とローマ教皇(スペイン軍)
の激突が間近な時に

イタリアの半分以上がどちらにつくか明示したのに対して
フィレンツェは親仏体制が続いていたのに
戦争に巻き込まれるのを嫌って
どっちつかずの態度を示して

激戦が終わってみれば
周りが敵だらけになっていたことに対する
怒りや不満が反映されているようで

別の章で
中立のマイナス点を語る時に
改めて語られます


共和政ローマが
いかにエグくて強かったかを示す
そんな本を別に書いているニッコロさんだけあって
畏敬の念を示すように
ローマ人についてこうも言っています

「彼らは時勢を利用するという姿勢を好まず、
 自らの能力と思慮の恵みに浴することを望んだ」

時勢に流されるのではなく
自分で有利な環境を作り上げる

それは
孫子先生の制権思想と似ていると
俺は思いましたが
制権が何だったのか
俺は覚えてないッス!


ルイ12世を批判し
古代ローマ人を賞賛し
イタリア統一を促したニッコロさんですが

だからと言って
遮二無二領土を獲得しろとは
言ってません

「領土獲得欲は自然かつ当然のものである。
 有能な者による領土獲得は称賛することはあれ、
 非難すべきものではない。

 ただし
 能力もないくせに領土を獲得しようとすることは
 誤りであり、非難すべきものである!」

この能力は
君主個人の能力だけでなく
国力と軍事力も含まれているようで

領土を拡大したいなら
それだけのものを
自前で用意しろと

そういうわけでして

ニッコロさん自身も
傭兵を主体とする軍から
農民から募兵する志願軍に切り替えて
国のために命をかける強い軍隊を作ろうとしたそうで・・・

上の
領土拡大のための三つの方針においても

最終的には
自国の強大な軍が必要という前提にも
つながるわけで


権謀術数の人ということになっている
ニッコロさんも
その土台は強い国であるべし

とそういうことになり

君主は軍事面をしっかりやれと
いう別章の話に繋がるわけでもあるようで・・・


君主論の話の大事なところの中心が
だいたい複合的君主権の中にあると・・・
俺は思いましたが

読み進めていけば
もっと大事なことがあるかもしれないので
そん時はスンマセン!


次回更新


いつになるか分かんないっす!!





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